ふたつの幸せ
 わたしが、今のダーリンと結婚することが決まったとき、お母さんとお父さんはとても喜んでくれました。そのときもまだ、ふたりの間には刺々しい空気が流れていました。しかし、わたしの結婚をきっかけに、その刺々しさも幾分和らいでいたような気がします。

 なにより決定的だったのが、わが愛娘のさーちゃんの誕生です。彼女の誕生をお母さんとお父さんが手を取り合って喜んでいた姿は、あれから数年たった今でも、鮮明に思い出すことができます。娘の結婚・出産という特別な出来事が、わたしが小学生の頃の、温かった家庭を、ふたりに思い出させたのでしょうか。それとも、お父さんがあの女の人と別れて、今は一人で暮らしているというのが、お母さんの怒りを和らげたのでしょうか。それについては、お母さんもお父さんも多くを語らないので、よくわからないのですが、とにもかくにも、ふたりの関係が回復したことは、わたしにとってとても喜ぶべきことです。

 とは言え、わたしはあのときの辛く、苦しい思い出を忘れたわけではありません。このような思いを、愛娘のさーちゃんにさせないためにも、これからも、ダーリンと幸せな家庭作りに励みたいと思っています。
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